カイコホリック

蚕の皆様との愛の日々

蚕繭祭に行ってきました!

※ブログ用にきれいに写真を撮るのを失念していたので、今回写真が全部微妙です…

 

 

先週土曜日は、浅草にある昆虫食のお店TAKE-NOKOで開催されたイベント「蚕繭祭」に行ってきました!

takeo.tokyo

 

名前の通り蚕にフューチャーしたイベントで、昆虫食のお店らしくカイコさんを使ったメニューもいろいろ。私は虫を食べるのは苦手なようなので気になるけどあまりご縁がないお店かなと思っていたんですが、先日「繭刺し」という気になりすぎるメニューが誕生し、これは行かなくては!と思っていたところでした。

 

という事で、繭刺し!!

 

トークショーに併せて入店して混雑していたので、椅子に置かせていただいています

 

そうなのです!カイコさんの繭をお刺身のように食べるという画期的なメニュー!「え!?繭って食べていいの??」と思ってしまいますが…もちろん普通はダメです(笑)。ダメというか、本当に糸なので食べづらいと思います。

でもこの繭刺しで使用されているのは「セリシン繭」と呼ばれるもの。カイコさんが出す糸はフィブロインという繊維(シルク糸になる部分)とセリシンという糊のような役目の成分でできていて、このセリシンにより糸がくっついて足場を作ったり、繭の形に糸をくっつける事ができます。セリシン繭とは品種改良(遺伝子組み換え?)により繊維であるフィブロインをかなり減らし、ほとんどがセリシンでできている繭なのです。繭刺しに使用された品種が具体的にお聞きしていないのですが、カイコさんを好きな方は「セリシンホープ」という品種ならご存知の方も多いのではないかと思います。

 

 

 

セリシンって、繭を糸にするために煮る時に溶けてしまう部分なのでとろとろなのかと思いきや、写真のようにしっかり繭の形をしています。でも通常の繭のように糸らしきものはなく、不思議な繭!これは軽く煮ているのか水漬けなのか、どういう処理をされているんでしょう。

食べてみると味はあまりなく、よく味わうとふんわりと繭のにおいがわかるかな、という程度。食感は以外にしっかりしていて、ぎゅっと噛み締めることができます。真綿を作る時に煮た繭を手に取ると層になった糸がきゅっとこすれるような手触りがあるのですが、あれを口に含むとこんな食感なのかなと思わされます。

 

セリシン繭自体なかなかお目にかかることができないのでこうして間近で見られるだけでも貴重な機会だと思います。昆虫食のジャンルとしても、カイコさんとニンゲンの関わり方としても新しい切り口で、とても面白い体験でした。

 

ちなみに一枚目の写真で繭刺しといっしょに写っているドリンクは「蚕の糞茶HOT」です。今まで野蚕の糞茶はいただいたことがあったのですが、カイコさんの糞は実ははじめて。糞の香りはその虫の食べるものにかなり左右されるため、恐らく桑の葉のお茶に似ているのではないかと思います(桑のお茶も未体験のため想像です)。私が知っている中では柿の葉のお茶が近いかなと思いました。少し癖のある香ばしい風味なので好みは分かれるかもしれませんが、飲みづらい味ではないので是非一度お試し下さい。

 

 

1週間ほどのイベントでしたが、私が伺った日は特別企画のアシザワ養蚕さんトークショーがありました。実は以前からTwitterではやり取りさせていただいており、我が家で育っている桑のうち一本は芦澤さんにお譲りいただいたものだったりします。

養蚕農家さんは高齢の方が多いのもあってかあまりネットやイベントでお話しされている方がいらっしゃらないので、こういったトークショーは大変貴重です。

芦澤さんの養蚕風景はもちろん、企業での工場養蚕などお話は多岐にわたりとても興味深い内容でした。そういえば「どうして企業が養蚕しているのか」とか、みなさんピンと来るものなんでしょうか?養蚕というと昔ながらの手仕事のイメージが強いですが、カイコさんの利用については遺伝子組み換えを始め最先端に近い技術が関わっていたりします。

 

以下、トークショーの資料や展示物の一部をご紹介します!

 

これが全部繭ですよ…。私たちが家庭でカイコさんのお世話をさせていただくのと養蚕農家さんではもちろん方法も設備も違うのですが、この数のカイコさんのお世話を…と考えるとそれだけでも恐ろしい。桑を刈っている様子も動画でご紹介されていましたが、あれを毎日…と感心しきりです。カイコさんがもりもり召し上がる期間は限られているとは言え、5齢だけでも1週間は続くわけですよ。すごい!

 

 

これは繭の選別についての資料です。光に透かしてみると一目瞭然ですね!この画像を見たときは「あの繭とあの繭と…」と楽しく探していたんですが、先ほどの大量の繭を思うと「あの数になるまでこの蔟を何枚検査したら…」と気が遠くなります。一般家庭でのお世話に比べると機械化されているとはいえ、やっぱり人の力が凄く必要なんですね。ちなみに芦澤養蚕さんでは蛹の状態での出荷もすることがあるそうで、出荷できる量の繭を全て手作業でカットされているとか。

ちなみにこの写真のような繭ぎっしりの蔟も実物が展示されていたのですが撮影し忘れていました。家でも繭ぎっしりの蔟は見られますが、あの大きさで見るとやっぱり感動します。

 

 

これは桑飼育ならではですね!これをカイコさん達の上にかけて新しい桑をのせ、綺麗なところへ移動していただくためのもの。私もネットを使ってはいますが網目から糞を落として清潔を保つための使用なので、ネット自体は同じものをずっと使うようになります。

 

ブレててすみません。

触ってみるとびっくりするほど柔らかい!軽い!ネット自体に重みがあるとカイコさんにかぶせる時負担がかかってしまうので、このくらいがいいんでしょうね。桑だけでお世話できるときが来たら使ってみたいな。

 

こちらも幼虫お世話グッズですが、この上に紙を敷いてその上で幼虫のお世話ということなので、1・2齢あたりの小さいみなさん用でしょうか。博物館でも見たことがあるように思いますが、網目も大きいし不思議に思っていたんです。そうか、紙を乗せるのか…。

 

 

こちらは繭を出荷する際の袋だそうです。

袋なんてあるんだ…と思いましたが、そういえばこんな感じの袋でトラックに積み込まれている映像を見たことある!

 

 

カイコさん関連の博物館や展示はいろいろ見てきたつもりだったのですが、年代や地域などによっても使用されている道具が違ったりするので今でも見る度に新しい発見があります。久しぶりにたっぷりとカイコさんのお話を聞いて同志の皆様とお話して、とっても充実したイベントでした!トーク内容も展示もほんの少ししか紹介できていないですが、カイコさん生体展示やら繭細工やら、小さな空間にありとあらゆる展示がぎっしり詰まっていたんですよ!TAKE-NOKOさんでは以前野蚕イベントなども開催されており、またカイコさんでも何かやっていただけるのでは…という雰囲気でしたので、機会がありましたら是非参加してみて下さい。

 

 

 

ちなみにTAKE-NOKOさん、通常メニューでもクラフトコーラがあったりイベントでは昆虫を使わないイメージ(概念?)メニューがある時もあるので、気になるけど虫を食べるのはちょっと…という方もぜひ遊びに行ってみて下さい。古民家を改装したお洒落空間です!

 

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