暖かくなってきたので、いつもならそろそろ今シーズンのカイコさん達をお迎えする用意を…というところなのですが、今年はもう少し待ってからカイコさんに孵化してきて頂こうと計画中です。
と言うのも!
今年はご縁がありまして、いつものカイコさん(=家蚕)ではなく野蚕と呼ばれるみなさまの卵を譲って頂いたからです!落葉樹も新芽を出し始めるこの時期、続々と孵化が始まっておりまして現在はそちらにかかりきりとなっています。
こちらはヤママユのみなさま!
以前の記事で大きい幼虫ver.をご紹介したのですが、このブログを見てご連絡いただいた方に譲って頂いた卵から孵った皆様です。本来は春~初夏の正に今頃がシーズンの方達ですので、先週ごろからもりもりお越しいただいております。
冬の間は食草がなくヤマモモでお育てしていたのですが(常緑のシイやカシはあまり食べて頂けず…)、終齢で亡くなってしまう方が多発しました。春になって孵化した皆さんには新しく育っているカシやブナなどを食べて頂いているので、無事に育って頂きたいところ。
ヤママユの皆様は孵化した時点で同齢のカイコさんの倍くらいはあるのでは、という大きさなのですが、全齢を通してとても脚力が強い方々です。小さい時からがっちりホールドで捕まっていらっしゃるので、無理に動かしてお怪我を負わせてしまった事も。大きくなってからは更に強靭になるので、お体のサイズごとに飼育箱を分けてお住まいいただいた方がよさそうです。
ヤマモモ育ちの方は現在1名が繭になっています。
こちらはクスサン。
先ほどのヤママユの皆様と同じ方に譲っていただいた卵が孵化しました。ちょっと写真がぼやけてしまいましたが、このとおりの真っ黒な幼虫です。大きくなると緑のお体に白い毛になるはずなのですが、小さい皆さんの黒さにはびっくりです。
孵化してすぐのサイズはカイコさんより少し大きいかな、という程度。ヤママユの皆様に比べると脚力も弱いようです。
こちらは現在コナラやサクラを食べて育っていらっしゃいます。
同じ方にはウスタビガの卵もいただいておりまして、こちらも初夏頃には孵化と思われ今から楽しみにしています。
こちらは東京・清澄白河にある「ワイルドシルクミュージアム」様からお譲りいただいた秘蔵っ子さま。エリサンとシンジュサンの交配種さんです。
エリサンはカイコさんたちのように家畜化された昆虫で、「エリサンとシンジュサン」の関係はカイコさんとクワゴ(クワコ)と同様に「改良後」と「原種」という関係。そのためエリサンとシンジュサンは容姿もとても似ています。エリサン自体、家畜化されているものの分類としては「野蚕」という、少し不思議なポジションにいらっしゃる方ですね。
撮影をすっかり忘れていたのですが、卵の時点でとても白いのが特徴的でした。ばらばらと孵化なさっているのでこの写真でも大きい方、小さい方がいらっしゃいますが、孵化したてのころから比較的白っぽい皆様です。サイズは今のところカイコさんと同じくらいかな?
現在は主にネズミモチを食べて頂いていますが、孵化前に用意していたネズミモチの葉が硬かったようで全く食べてくださらなかったので、一時的にサクラやコナラで凌いでいらっしゃいました。
エリサン・シンジュサンともに兼ねてからとてもあこがれていた美しい蛾なので、なんとか羽化まで頑張って頂きたいなあと思っています。
ワイルドミュージアム様には先月うかがう事ができたのですが、カイコさんに興味のある方にはとても興味深いものがたくさん見られると思います。こちらもまた改めてご紹介しますね。なお、今週末の4月29日に長野県岡谷市で開催されるシルクフェアにもご出展予定とのことです。
++++++++++++++
どの方もそうなのですが、たとえ食草であっても小さいうちは育ちきった硬い葉には一切口をつけて下さらない頑なな性格にかなり振り回されました。ある程度大きくなれば大丈夫とは思うのですが、現在は新芽を捜して日々走り回っています。
そう考えると人工飼料でも事足りてしまうカイコさんって、実はとてもお世話が楽なのでは…という気がしてきますね。
野蚕の皆様についても時々成長ぶりをご報告したいと思います。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
我が家でお世話させて頂いた皆さんの繭やぬけがらのアクセサリー、お世話方法の手引書など販売中です。
→「カイコホリックbyBABEL」
カイコホリックは今年も博物ふぇすてぃばる!に参加します☆