ずいぶん更新が遅くなってしまってすっかり夏モードですが、引き続きアシザワ養蚕さん訪問記。今回は養蚕農家さんの冬のお仕事編です。
暖かい期間は養蚕と出荷の繰り返しですが、夏の取引分で1年生活されているわけではなく、冬には別のお仕事をされている農家さんも多いようです。芦澤さんも干し柿の生産などをされていますが、今回は蚕や養蚕に興味のある人たちの集まりということもあり、カイコさん関連のお仕事をいくつかお手伝いさせていただきました。
★毛羽をカーダーにかける
ひとつ目は、毛羽のカーダーがけ作業。
そもそも毛羽って?カーダーって?という方が多いと思います。私も繊維加工などはあまり知らないのでカーダーなんて聞いても「そういえば聞いたことあるかも」程度でした。写真の機械がカーダーです。ドラム部分が回転し、そこに綿や羊毛を送り込んでいくと繊維がほぐされ向きを整えたり、複数の素材を混ぜたりするのに使うようです。
今回使用するのはカイコさんの繭の「毛羽(けば)」。下の写真をご参照ください。
これは我が家のカイコさんですが、カイコさんは繭を作る時足場になる糸をたくさんかけて、その中に繭を作られます。この足場部分が「毛羽」と呼ばれる糸で、出荷の際はマユクリンなどで繭を押し出して収繭するため、蔟にはこの毛羽がたくさん残ります。これを集めると…
こんなにたくさん!
毛羽はフンなどがついていることもあり、こちらは少しゴミ取りをしてきれいにした状態だそうです。こちらを一定量(たしかこの時は50g)に小分けし、カーダーに通していきます。
↓カーダーにかけたものがこちら!
真綿ともちょっと違い、刈りたてのウールのような趣です。場合によりカーダーを2回かけたり、90度向きを変えてもう一度、などの指定があるようですが今回はこの1回のみでの納品だそうです。アパレルで使用されるそうなので、この毛羽たちも「シルク〇%」になるんでしょう。感慨深い…
★桑の皮むき
これは本当にまったくこんな仕事があると思わなくてびっくりしたのですが、桑の枝も卸先があるんだそうです。桑は毎年もりもり枝を伸ばすので、我が家でも秋には大幅に枝を切っています。養蚕農家さんだとカイコさんが食べた後に残った枝なんでしょうか。
上の写真の背景に箱が写っているのですが、これはデッサン用の木炭です。出荷した桑は焼かれ、デッサン用の木炭になるそうなんです。こんな使い方があったなんて!
同一規格の箱に同数を入れての販売なので、出荷する枝の太さや長さに規定があるようです。皮をむいてからの出荷になるので以外に重労働。
枝そのままだと固すぎて剥けないので、この大きな鍋でしばらくぐつぐつ桑の枝を煮込みます。これをみんなで剝く作業は楽しく、おしゃべりしたり剥き方を工夫して「どれだけ少ない工程で剥くか」など凝りだすのも面白いのですが、普段これを一人で?と思うとやっぱり大変な作業です。
慣れるとこんな剥き方に(笑)。桑の皮を裏から見るとちょっと竹みたいな雰囲気。桑のいい匂いが漂います。養蚕の副産物を売れるなんて!と思ってしまうところですが、卸価格やこの重労働を思うとなかなかシビア。働くって大変だよね。
お仕事に関しては我々の体験重視でほぼお役には立っていないと思うのですが(笑)、知っているようで知らないことがたくさんで大変有意義な時間でした。このブログを見てくださっている方にもお会いできて感無量…!
改めてこの場を用意して下さったアシザワ養蚕さま、ありがとうございました。
またやるかも~っていうお話でしたので次回があればぜひ皆様も一緒にお餅つきとお手伝いで楽しい時間を過ごしましょうね!私もまた行きます!
最近アシザワ養蚕さんのTwitterでこちらの蚕室の現在が出ていました。
— アシザワ養蚕 (@asizawa_yosan) 2024年6月2日
圧巻!!!
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今年は久しぶりに博物ふぇすてぃばる!(7/20・21東京九段下で開催)に出展します。それに伴い、7/5から通信販売お休みとなりますのでご注意ください。準備がんばるぞー!