博物ふぇすてぃばる!前後で、まだ羽化していなかったカイコさんの繭をあけました。ゆっくり羽化の準備をしている子や出て来れなかった子が大半かなとおもっていたのですが、いざ開けてみたら今回は随分成長不良の子が多かったようです。
時々こういうような見た目にも汚れている繭があります。外から蛾尿などで汚れたのではなく、写真のように汚れごと繭に漉き込んであるようなものは大抵中でお亡くなりになってしまっています。イベント前からこの繭には気付いていて「多分駄目だろうな」とは思っていたのですが、やっぱり。
あけたところ。
わかりづらいのですが、お二人とも脱肛の症状でお亡くなりになっていました。
こちらはケバが多いので写真で見ると普通の繭っぽいのですが、実際は中が透けるほど薄い繭です。繭が薄すぎて毛羽をむしることができなかったのでこの状態。薄い繭もやっぱりお亡くなりになっていることが多いのですが、写真左の黄色っぽい繭は例のお皿のようなものを作っていたカイコさんです(「2015年6月~」タグの「かいころく11」参照)。
大きい方の繭をあけたところ。やっぱりでした。
小さい繭。こちらはちゃんとさなぎにはなれたご様子。お皿を作っていたので繭の糸が足りなかったのだと思いますが、脚や翅が胴体に付かず、ちょっとさなぎとして不完全な雰囲気があります。
その後、羽化。羽化はしたのですが、途中でさなぎから出られなくなっていたので手伝ってさなぎの殻から脱出。成長不良の子にありがちな、びしょびしょの状態で出てきていました。この状態で出てきてしまうと、個体差はありますがやっぱりあまり長くは生きていられないような印象です。あと、羽化に時間がかかるからか羽が伸びないのも特徴。
今回一番多かったのが、この脱皮しかけのまま蛹になりたそうな雰囲気でお亡くなりになっている子でした。左の茶色っぽい子なんかはまだぷりぷり元気そうだったのでもしかして、と思っていたのですが、やはり数日後お亡くなりに。今回は全体80頭弱のうち15頭ほどもこの症状で亡くなっている状態で、ちょっと多すぎるなあと…。
内、一頭が羽化というか、背中辺りの殻が割れたものの自力では出て来れない状況で、私がお手伝いしての羽化となりました。そのままにしておいたほうが良いのか出してあげた方がいいのか、いつも判断に悩みます。
割と元気に動いていらっしゃるのでぶれていますが、上半身はうまく発達しておらず、お顔は幼虫時代のままです。脚もあまりしっかりはできていない様子で、この子は脚を伸ばしたり曲げたりは自発的になさっていますが歩くほどの脚力はありません。場合によっては自分で歩ける子もいるんですけれども。
最後。今間で1度もなかったパターンなのですが、蛹になったもののくしゃっとなってそのままお亡くなりになっていた子がいらっしゃいました。右は蛹になる時に繭の中で脱皮した皮。
もしかして収繭のタイミングが悪くて蛹が柔らかいうちに動かしてしまったのでは?と思ったのですが、それなら今まで一度もなかったというのもおかしいような気もするし、これも原因がはっきりしません。
病気だとか成長不良だかについては資料もあまり見つからずに予防もうまくできていないような気がしています。とりあえず確実に悪い影響を与えることがわかっている点については「普段はなるべくカイコさんに触らない」「怪しい方はすぐ隔離」「大きくなってからは風通しよく」など気をつけてはいるのですが、カイコさんの死因ってどのくらい研究されているものなのか…。
先日お知らせした今月生まれのカイコさんですが、こちらもいろいろ問題が出てきているので、また落ち着いたらまとめてご報告します。
博物ふぇすてぃばる!では飼育本なども販売していました。病気についてもわかる範囲で少し書かせてはいただいているのですが、病気や成長不良に関しては私もまだまだ知りたいことだらけです。